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陶房青の工房を訪ねて

「陶房青」のうつわはここから誕生します


 長崎県波佐見町の中尾山の山間に陶房青さんの工房はあります。
波佐見焼の歴史は古く、400年にもなるそう。その中でもここ中尾山は、秘陶の里とも呼ばれ、急斜面の山間に20軒ほどの窯元がひしめいています。
中尾山を歩くと、山の緑と町並みが迫ってきます。坂道の足元を見ると、いたるところにレンガが敷き詰められ、ところどころにハマ(窯道具)がモザイク風にデザインされています。そして欄干などには絵付けされた陶板や、大きな飾り壺などもあり、やきものの里ならではの楽しみがあちこちにあります。
そんな坂道では猫やおばあさんがのんびりと歩いていて、なんだか懐かしい気分になるのです。道で出会う人々からは「こんにちは」と声をかけられ、あわててあいさつを返すのですが、ちょっと恥ずかしいやら、でもさわやかな気持ちにもなる。中尾山はそんなところなのです。



  坂道の途中には、「ほら、こっちですよ」と各窯元へ行く道案内の標識がたっています。陶房青につづく坂を登るとモダンな黒い鉄の、青さんのサインが見えてきます。このサインの左手がギャラリー、右手が工房になっています。
ギャラリーには、ロクロ場と展示スペースが併設。2台のロクロでは窯主である社長の吉村聖吾さんと弟の伸也さんが、もくもくと作業中。来客があると、笑顔で「いらっしゃい、ゆっくり見ていかんね。」と波佐見の人のあったかいイントネーション。お二人のまわりには、今ロクロ台から現れたばかりの器が棚板の上に並べられています。中には聖吾さんの遊びゴコロでしょうか、クスリと笑ってしまうようなものもあり楽しくなってきます。
ギャラリーから出てみると右手に母屋に続く応接室があり、その家影からなにやら黒々とした大きなぬいぐるみみたいなものが見えてきます。近くに寄ってみると、それは聖吾さんの愛犬「タロー」。黒毛のニューファンドランド犬で、びっくりするぐらい大きいのに決して吠えることのない優しい性格です。お客さんの中には新しい器も気になるけど、まずはタローに挨拶をという人もいるくらい、タローは工房のマスコット的存在なのです。


 陶房青の創立は1972年(昭和47)。「不思議と次々に人との出会いがあってね、仕事も開けてきた」けして順風満帆ではなかったここまでの道のりも「人と人とのつながりのなかで、自分をここまで引っ張ってきてもらった。」と聖吾さん。
聖吾さんの姿をみていると、本当に人とのかかわりを大切にされているのを感じます。
ここ中尾山の春の陶器市「桜陶祭(おうとうさい)」では、来る人来る人を社長自ら、とことんおもてなし。もちろん自分も思いっきり楽しむというスタンスで、はじめて訪れる人もすぐに打ち解けてしまいます。そんな聖吾さんの姿が多くの陶房青のファンの心をとらえるのでしょう。(わたしたちスタッフも含めて!)
 こんな多忙な社長であっても、「常に何かを考えている」そうで、きっとストレスもあるのではと思い、オフの日は何をされているのか聞いてみました。「海釣り。一人で物事を忘れられるから。それと本を読むこと。何でもいいんでトイレでも風呂でも読んでいるよ。」オン・オフの切り替えが上手な聖吾さん。だからこそ、いろいろな新しいうつわのアイデアが出てくるのだと感じました。



  陶房青さんのスタッフは15人、そのうちデザイナーは4人。
それぞれが違った個性のうつわを作り出しています。聖吾さんはこれを「工場内工房」と呼んで、それぞれが独立した工房を営むことをイメージされているよう。4つの個性を持つ陶房青の特徴は?との問いには、「基本的には食器を逸脱しないこと。自分が納得できるものをつくること。そして自分たちも楽しむこと。物と同時にこのようなハートも伝えること。そして真心をもって仕事をすること。」とこたえてくださいました。
陶房青の皆さんはいつも元気!そしていつも「こんにちは」と来客がたえない、人が行き交う工房です。